視覚障害者訪問自立支援事業 実施要領 この要領は、「訪問自立支援事業」を利用する方、実施に携わる方、また関係者の皆様に、事業全体について知っていただくために作成するものです。 この事業を利用する方は、「4.利用ガイド」を特に参考にしてください。 支援員の方は、「5.支援員の方へ」に目を通してください。 ご不明な点につきましては、下記へお問い合わせください。 静岡県視覚障害者情報支援センター 電話:054−253−8180 FAX:054−250−0766 メール:info@i−center−shizuoka.jp 1.名称 本事業の名称を、視覚障害者訪問自立支援事業(以下、事業)とします。また、通称、在宅リハまたは訪問リハなどと呼ぶこともあります。 2.目的 本事業の目的は、別項で定める対象者(以下、利用者)が居住または勤務あるいは通学する場所に、別項で定める訪問支援員(以下、支援員)を派遣し、視覚障害者の自立生活に必要な各種スキルの習得を支援するとともに、社会参加の推進を図るものとします。 3.実施団体と受付窓口 本事業は、視覚障害者生活訓練事業(県委託事業)の1つとして実施します。 1)実施団体 本事業は、公益社団法人静岡県視覚障害者協会(以下、県視協)が静岡県から受託し、実施します。 ●静岡県視覚障害者協会・事務局所在地 〒420−0856 静岡市葵区駿府町1−70静岡県総合社会福祉会館2階 電話・FAX:054−251−8090 メール:info@shizuoka−kenshikyo.org 2)受付窓口 本事業の受付窓口およびコーディネート業務は、静岡県視覚障害者情報支援センター(以下、センター)が静岡県から受託し、実施します。 ●静岡県視覚障害者情報支援センター所在地 〒420−0856 静岡市葵区駿府町1−70静岡県総合社会福祉会館2階 電話:054−253−8180 FAX:054−250−0766 メール:info@i−center−shizuoka.jp ※本事業の運用に当たっては、県視協とセンターとが提携して、円滑な実施に努めます。 4.利用ガイド 利用者が本事業を利用するにあたり、概要をまとめました。 1)対象者 本事業を利用できる方は、静岡県に在住または在勤あるいは在学する原則15歳以上の視覚障害者(身体障害者福祉法に基づいて身体障害者手帳を交付された方)とします。 また、身体障害者手帳を有していない場合でも、医師の診断書(概ね3カ月以内に発行されたもの)により、視覚になんらかの障害があると認められた方も対象となります。 2)支援内容 本事業が提供する支援内容は、次のとおりです。 @歩行技能と移動技術に関する支援 A点字習得に関する支援 Bローヴィジョンに関する支援 Cパソコン等ICT習得に関する支援 D日常生活を円滑にするための支援 E視覚障害に関する相談 Fその他必要な支援 3)支援の目安 本事業において、利用者が1回に受けられる支援の目安は、次のとおりです。ただし、必要に応じて期間や回数を増減・調整します。なお、本事業は、必要に応じて、複数回利用することができます。 @総時間:12時間程度(1回の訪問は2時間程度) A回数:6回程度 B期間:概ね3カ月程度 4)利用にあたっての費用 @利用者が本事業を利用する場合、支援員の派遣に必要な費用は無料です。 A利用者が本事業の支援を受けるにあたり、本人に必要な経費(テキストや機器類の購入費、あるいは歩行支援における利用者本人の運賃など)が発生する場合は、利用者に実費を負担していただきます。 5)利用の申し込み 本事業への申し込みは、利用者本人またはその代理人から、センターにご連絡ください。 ●静岡県視覚障害者情報支援センター 電話:054−253−8180 メール:info@i−center−shizuoka.jp 6)利用の流れ 本事業を利用する場合、おおよそ次のような流れとなります。 @ご本人あるいは代理の方から、センターにお申し込みください。 A利用要件を確認するために、氏名・住所・連絡先などをお聞きします。 B引き続きご希望の支援内容や障害の状況、生活の状態などを聞き取り調査します。 Cお聞きした内容を基に、適切な支援を提示します。 D担当支援員とスケジュール調整したうえで、支援を開始します。 E支援終了後、今後の充実を図るため、アンケートにご協力ください。 5.支援員の方へ 本事業に従事する支援員についてまとめています。 1)支援員の種類 本事業で派遣する支援員は、次のとおりです。 @視覚障害生活訓練等指導者(厚生労働省認定) A視能訓練士 B視覚障害リハビリテーションの専門職にある者、またはその経験者 C点字指導に携わっている者、またはその経験者 D視覚障害者のICT(情報通信技術)に通じている者 E視覚障害者の相談業務に携わっている者、またはその経験者 2)手当および交通費 本事業における支援員への手当・交通費・経費については、全て本事業で負担し、利用者に請求することはありません。 @「歩行技能と移動技術に関する支援」については、30分あたり2500円の手当とします。 Aその他の支援については、30分あたり1250円の手当とします。 B交通費は実費支給とし、自動車のガソリン代については、1キロ18円で計算します。 Cセンター職員が、本事業の業務のためにセンターの業務時間中に出張する場合は、交通費のみを支給します。 D支援にあたり発生する経費(歩行支援における支援員の運賃など)については、実費支給とします。 E本事業の支援員は、(社福)全国社会福祉協議会「福祉サービス総合保障」に加入するものとし、その費用は本事業で負担します。 3)支援員情報 本事業の支援員は、県視協が管理する「訪問支援員名簿」への登録が必要です。 @支援員は、毎年4月、「支援員就任承諾書」に必要事項を記入し、押印した書面を県視協に提出します。 A合わせて「支援員情報」に必要な情報を記入し、県視協に提出します。年度途中で内容に変更があるときは、速やかに県視協に連絡します。 B県視協は、提出された書面を基に、「支援員名簿」を修正・追加します。 Cセンターは、コーディネート業務に必要がある場合、県視協から支援員の個人情報の提供を受けるものとします。 D利用者に対して、「支援決定通知書」において、担当支援員の連絡先を開示します。 4)支援の流れ @センターは、担当支援員にケースを依頼します。 Aその際、支援内容や目的について、共通理解を図ります。 Bケースごとに「個人カルテ」(エクセルデータ)を作成し、県視協に送付します。 C県視協は、個人カルテを支援員にメールで送付します。 D支援員は、個人カルテの「アセスメント票」に記載の支援目的に沿って、支援を進めます。 E個人カルテの情報に基づいて、利用者と連絡を取り、初回訪問日を設定します。 F初回訪問時、支援に必要な追加情報を聞き取りし、支援計画を立てます。 G個人カルテの送付をもって、支援の進捗を県視協に報告します。 ※次の進捗段階で、個人カルテを県視協に返送・提出します。 ・アセスメント票への追加と支援計画書策定時 ・支援報告書への記入(支援2回に1度の割合) ・支援終了時(終了報告および記載チェックのため) ・支払請求書送付時(最終版) H支援目的に照らして達成度を評価し、支援の短縮または延長を県視協に諮ります。 I支援が終了したら、「終了報告書」を、最終支援日から1週間以内に、県視協に提出します。 J県視協は、「支援報告書」および「終了報告書」の記載内容をチェックし、必要があれば、追加・修正を支援員に依頼します。 K支援員は、「支払請求書」を書面として印字し、押印の上、県視協に送付します。 L支援が終了した個人カルテについては、速やかに破棄するものとします。 6.地域事業所 本事業の実施にあたり、利用者がお住まいの地域にある関連事業所(以下、事業所)と連携する場合があります。アセスメント時あるいは実際の支援時に、必要があれば、同席します。これは、支援終了後も、利用者が地域社会で生活していくうえで必要な支援を得やすくするためです。また、利用者に対して、「支援決定通知書」において、事業所に関する情報(連絡先など)を開示します。 7.情報の取り扱い 1)受付台帳 センターは、訓練事業全体のコーディネート業務を遂行するにあたり、本事業の利用者情報を含む「受付台帳」を作成・整備・管理します。 2)個人カルテ センターは、訓練事業全体のコーディネート業務を遂行するにあたり、本事業のケースごとに「個人カルテ」を作成・管理します。個人カルテはエクセルファイルで作成し、パスワードをかけて内容を保護します。 3)基本的な個人情報 本事業の受付時にセンターが収集する情報は、本事業における基本的な個人情報とし、センターが行う全ての県事業において、共通に管理し使用します。また、個人カルテの「基本情報」に記載します。 ●「基本的な個人情報」の項目 ・氏名(フリガナ) ・住所 ・連絡先(固定・携帯電話、メールアドレスなど) ・生年月日・年齢 ・身体障害者手帳の有無とその等級 ・視力・視野・見え方 4)アセスメント情報 本事業で行うアセスメント(聞き取り調査)で知りえた個人情報については、本事業で行う支援にのみ使用します。また、個人カルテの「アセスメント票」に記載します。 ●「アセスメント情報」の主な内容 ・支援の内容および目的 ・障害の程度および状況ならびに病歴 ・生活状況ならびに家族関係 ・その他、支援に必要な情報 5)関係者間での情報共有 センター・県視協・担当支援員は、本事業の実施に当たり、個人カルテをもって、利用者情報および進捗情報を共有します。なお、個人カルテにはパスワードをかけて内容を保護し、メールでやりとりします。 ※センターは、支援終了後、県視協から個人カルテ(最終版)の提供を受けるものとします。 ※県視協は、個人カルテに含まれる情報について、本事業の実施のためにのみ使用するものとします。 ※担当支援員は、支援終了後、個人カルテを速やかに破棄するものとします。 6)守秘義務 本事業に携わる全ての関係者・機関・団体は、利用者に関して業務上知り得た情報を、利用者に無断で、第3者に提供してはなりません。これに違反していると思われる事象を見つけた時は、速やかにセンターまたは県視協にご連絡ください。対処いたします。 8.事務分掌 本事業の事務分掌を次のとおり定めます。 @県視協の分掌項目 本事業のケースごとの進捗を管理します。 本事業における各種書面を発行します。 本事業の経理事務を行います。 「訪問支援員名簿」を整備し管理します。 Aセンターの分掌項目 本事業の窓口業務を行います。 本事業のコーディネート業務を行います。 本事業のケースごとに個人カルテを作成・管理します。 本事業の利用者情報を含む「受付台帳」を整備・管理します。 Bその他の事務については、県視協とセンターとが協議・決定して行います。 9.本事業の詳細 本事業の詳細について、下記に記します。なお、〈〉内は事務分掌者を示します。 1)概要 @利用申し込みを受け付け、個人情報を聞き取るとともに、利用要件を確認します〈センター〉。 Aアセスメント(聞き取り調査)を実施し、適切な支援を選択・提示します〈センター〉。 B利用者と支援員とのマッチングを行い、支援目的について確認します〈センター〉。 Cケースごとに利用者の個人カルテを作成するとともに、受付台帳を整備・管理します〈センター〉。 D支援員の派遣実務と支援の進捗を管理します〈県視協〉。 E支援員への手当てや交通費を支払います〈県視協〉。 F必要に応じて利用者からアンケートを実施し、訓練事業の充実に努めます〈センター〉。 2)利用の受付と要件の確認〈センター〉 @センターは、本人または代理人からの申し込みにより、本事業の利用を受け付けます。 A代理人からの申し込みの場合、原則、支援の必要性や意欲について、本人の意思を、電話などで直接確認します。 B基本的な個人情報を聞き取り、合わせて利用要件を確認します。 ●聞き取りする基本的な個人情報 ・氏名(フリガナ) ・住所 ・連絡先(固定・携帯電話、メールアドレスなど) ・生年月日・年齢 ・身体障害者手帳の有無とその等級 ・視力・視野・見え方 ●利用要件 ・静岡県に在住・在勤・在学していること ・原則15歳以上であること ・障害者手帳を有しているか、または医師の診断書があること ・希望する支援内容が提供範囲にあること ・支援を受けるための通所が困難なこと ・自立に向けた姿勢が認められること C利用要件を満たしていない場合や、他のサービスが適していると判断した場合は、利用できる他のサービスを紹介するなどの提案をします。 3)アセスメントの実施と適切な支援の選択〈センター〉 @センターは、利用要件を満たしている場合、引き続き、アセスメント(聞き取り調査)を実施します。 ●アセスメントで聞き取りする主な内容 ・支援の内容および目的 ・障害の程度および状況ならびに病歴 ・生活状況ならびに家族関係 ・その他、支援に必要な情報 Aアセスメントを基に、必要な支援を選択し、その結果を利用者に提示します。 Bその際、支援の内容や目的を再度確認します。 C他のサービスが適していると判断した場合は、利用できる他のサービスを紹介するなどの提案をします。 D利用受付から適切な支援を選択・提示するまでの期間は、原則1週間以内とします。 4)支援員のマッチングと支援目的の確認〈センター〉 @センターは、担当支援員を選び、支援業務を依頼します。 Aアセスメントを基に、支援内容および目的について、支援員と共通理解を図ります。 5)個人カルテの作成と受付台帳の管理〈センター〉 @センターは、ケースごとに個人カルテ(エクセルファイル)と管理フォルダ(データ管理区画)を作成します。 ●個人カルテに関連する命名規則 ・利用者コード:〈受付日〉〈利用者名イニシャル〉 ・個人カルテファイル名:〈コード〉_〈利用者名〉_〈種類〉 ・管理フォルダ名:〈イニシャル〉_〈利用者名〉_〈受付日〉 A利用者から聞き取った内容は、個人カルテの「基本情報」および「アセスメント票」に記載します。 B個人カルテの送付をもって支援の開始を県視協に依頼します。 6)決定通知の発行と支援の進捗管理〈県視協〉 @県視協は、センターからの個人カルテの送付を受け、「決定通知書」を書面で発行し、利用者に送付します。 A担当支援員に個人カルテを送付し、支援の開始を依頼します。 B支援の進捗について、支援員と連絡を取り合い、管理します。 C計画した支援回数を消化しても、その目的が達成できていないと評価できる場合は、計画を修正しつつ支援を継続します。 D計画した支援回数に達しないで目的を達した場合、計画にとらわれず、速やかに支援を終了します。 E支援員は、次の進捗段階で、個人カルテを県視協に返送・提出します。 ・アセスメント票への追加と支援計画書策定時 ・支援報告書への記入(支援2回に1度の割合) ・支援終了時(終了報告および記載チェックのため) ・支払請求書送付時(最終版) 7)支援の終了と支払い事務〈県視協〉 @支援員は、支援が終了したら、「終了報告書」を、最終支援日から1週間以内に、県視協に提出します。 A県視協は、「支援報告書」および「終了報告書」をチェックし、必要があれば、支援員に修正を依頼します。 Bその後、支援員は、「支払請求書」を書面として印字し、押印の上、県視協に送付します。 ※上記@〜Bにかかる日数の目安は、およそ2週間とします。 C請求書に基づき、手当および交通費を支援員が指定する口座に振り込みます。 8)アンケートの実施と個人カルテの管理〈センター〉 @センターは、必要に応じて利用者へのアンケートを実施し、本事業を含む訓練事業全体の充実に努めます。 A追加して支援が必要であれば、新たに支援を手配します。 B訓練事業全体のコーディネート業務の遂行にあたり、支援終了後、県視協から該当する個人カルテの提供を受けるものとします。 10.事業運用と要領の改訂他 1)事務レベル会議 県視協およびセンターは、本事業全体を適切に管理・執行するため、必要に応じて、担当者による会議を開きます。 @「訪問支援員名簿」への支援員登録について、その可否に関する情報を共有します。 A検討の必要がある支援について、その問題点や解決策を共有します。 Bその他、事務作業について、必要に応じて検討します。 2)実施要領の改訂 @県視協、センター、および所管庁(県福祉課)の3者は、必要に応じてこの要領の改訂作業を行います。 A修正した要領については、速やかに関係者・機関・団体に周知します。 3)事業報告 県視協は、本事業について内容を開示し、毎年1回以上、関係者・機関・団体に対して報告します。 (付記) @この要領は、これまでの「実施要綱」「事務取扱規定」「手順書」「申し合わせ事項(手順内規)」を一つにまとめたものです。 Aこの要領は、平成28年4月1日より施行します。 Bこの要領は、令和2年4月15日より施行します。